素直になった時が治るとき

腰痛とかどこかが痛くて、治らないとする。そうした時、技術のある先生に診て貰えれば、治るものだと思うでしょう。それで治らなかったら、あそこはダメだと考えたりする。

しかし必ずしもそうではない。

 

たとえばスポーツで、亡くなられた小出監督は、一流の監督と言っていいと思いますが、その監督の言うことを聞かない選手もいた。すると当然その選手は伸びていかない。

体を治すというのも、それと同じようなものです。


もちろん技術のある先生であれば、施術を受けることによって、その問題が取れたりすることはある。

しかし今度は、不思議と新たに違う痛みを、新たに開発してきたりするのです。

 

こうしたことがなぜ起こるのかというと、人間の体は機械的なものではなく、心の問題が大きく関わっているからで、

心の問題が変わったとすれば、技術のある先生の施術を受ければ、体は変わるし、
うでない場合は、中々問題が取れなかったり、また新たな問題を作り出したりする。

 

そのため慢性的な痛みに悩まされている人は、体と同時に心の問題も抱えていて、体以上に心が変わる必要がある。

それがないと、たとえば「どこ行っても治らないんだ」という人は、実際に行っているのは、安い整骨院と、整体院みたいな所ばかりで、本当に腕のある先生の所に行ったりもしないでしょう。

もしくは100キロの脂肪を、一回のランニングや一回の水泳などで、落とそうと考えるみたいなことを、しているかもしれない。

 

それではどうやったら、心が変わるのかというと、一つは自分の力では、もうダメだという所まで、行きつくことです。

 

俳優の今井雅之さんが癌で亡くなりましたが、顔が別人のように変わったことが印象的だった。病気をして痩せたりすれば、顔が変わったりするものですが、そうではなく、精神的に大きく変わったために、変化した。

元気な頃の今井さんは、怒りをエネルギーにされていた方でしたが、癌という大きなものを目の前にした時に、怒った所でまるで太刀打ちできないと観念し、素直になって、あれが本来の今井さんなんじゃないかと思った。

今井さんの場合は、残念ながら助かりませんでしたが、観念し、素直な状態になると、初めて茶碗が空になって、新しいものが入って来る。

 

私の所でもよくなってくれる人というのは、色んな所に行ったけどダメで、ある意味観念し、また素直な心境になってくれた人です。そういう人は、メールの段階で分かるし、この人は良くなるなということを感じるし、また私自身も嬉しく、やりがい、幸福感を感じる。

自分の持っている技術、経験を、思う存分に発揮できる場を与えられる訳です。

 

しかしその心境の段階に行っていないと、あの人はあんなこと言っているけど、まだ自分の力でどうにかなるだろう、自分の考え、方法でもいいだろう、というのがあって、大きくは変わりにくい。

スポーツなんかでも、自分のやり方でプロになれると思っている訳ですよね?

もちろん中には天才的な親がいますが、そういう人は稀であって、殆どの人は違う。しかし圧倒的な力に出くわしたり、挫折を経験していないものだから、まだ自分の力で通用すると思ってバタバタやっている。

 

ただ理想的なのは、痛みや失敗を経験する前に悟ることです。

かなり昔の本ですが、「株の極意一億円への道教えます」という本に面白いことが書いてあった。

 

|| 顔を殴られなければわからないのが中級の下 ||

 

 一般の投資家は多かれ少なかれ欲ボケしている。だから、下げれば初押しは買いだと持続するし、上げれば一段高が期待できると、自分に都合のよいことだけを考える。相場の強弱については、公表された資料によって判断すべきで、けっしてそこに主観を挿入すべきではない。

 ところが欲ボケが正しい見方をじゃまする。どう処置すべきかを聞かれたコンサルタントが、「高値づかみだから早く処分すること。」と返事しても、なまじ経験がある者に限って、この意見を実行はしない。そして一段下げられて、また相談にくる。「それは前回述べたとおり。返答無用。」と言っても、まだ切ろうとしない。

 ついに買値の半分に下げたり、ガラがあって大幅に下げて初めて、「どうしよう。」と本気で指示を仰ぎに来る。そんなとき著者は、「どうしいよう、こうしようもない。」と返事する。

 このように顔をなぐられて初めて、欲ボケはさめる。それまでは目をつぶったままであり、どうにもならない。中級の中以上あると、コンサルタントが理由をあげて指示すればさっそく処分するが、中級の下以下では欲ボケが手伝って、なんの根拠もないのにあえて実行しようとしない。顔をぶんなぐられて初めて目がさめるのだが、すでにそのときは遅すぎる。そして、「あのときもう少し強く言ってくれてたら・・・。」などとグチをこぼすのである。

「株の極意一億円への道教えます」岡部寛之著 光文社 p36

 

本質は全てに通じることであるから、ここで書かれていることは、株のことだけでなく、スポーツにも通じるし、痛みや病気、仕事、恋愛など、全てにおいて言える。

欲ボケがあると邪魔をする。

整体なんかでも、安い所で済まそうとか、プロを目指しているのに、プロに習うのは高いから、自分でやろうとか、あの人はあんなこと言っているけど、大丈夫だとか、欲があることによって、判断が鈍り、上手く行かなくなる。

またここで書かれていることで言えば、顔をなぐられて初めて欲ボケが覚めるタイプは中級の下以下であり、専門家が理由をあげてアドバイスした時に、なるほどと理解できる人は、中級の中以上であるという目安になる。

 

投資の世界では、感情に左右されてはいけないとよく言われるのですが、それは実生活においても同じで、欲や不安などによる感情が起こると、判断が鈍ってしまう。

そうならないためには、まず冷静な自分を覚えておくことで、その状態から少しでも外れているのであれば、判断力が鈍って危険な状態にあると知ることです。

またその場合、焦って直ぐに判断、結論出したりせず、1日、2日置いたりしてから、もう一度判断する。

そうしないと夜に書いたラブレターみたいな、恥ずかしいことになるかもしれない。笑

 

変わるときは素直になった時で、欲や不安など余計な感情が無くなっている時。

それを作り出すためには、自分の力では、もうダメだという所まで、行きつくことか、自分で欲や不安などの感情をそぎ落とすかです。

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