「明日もまた生きていこう」
これは、バレーボールの木村沙織選手の1年後輩にして親友、また高校1年生時に春高バレー準優勝、2004年、高校2年生で全日本代表に初選出、7月に開催されたワールドグランプリに最年少メンバーとして出場した、横山友美佳さんという方の著書です。
副題は、
「十八歳でがん宣告を受けた私」
ドラマにもなったので、知っている人もいるかもしれませんが、この本は私にとって非常に強烈な本でした。
高校二年生、三月二日に18歳の誕生日を迎え、二度目の全日本シニア合宿、ジュニア合宿、高校選抜チームの合宿が決まり、これから忙しくなると言う時に、癌と診断される。
二〇〇五年四月十三日、一回目の抗がん剤治療が始まった。先生に吐き気などは個人差によって違うし、気持ちがとても大事と言われていた。精神力ならバレーボールで鍛えているし、負けないだろうと思っていたので、とても前向きに考えていた。しかし、実際は思ったよりずっと辛くて苦しいものだった。
これは体験者にしか理解できないような、想像を絶する苦しみだ。その時の頭痛や吐き気がどれだけのものなのかは言葉では表現することが出来ない。ただ言えるのは、人はいちばん辛い時には泣かない、いちばん苦しい時には口に出さない。本当にいちばん辛くて苦しい時はそれすらできないからだ。ただ静かに一秒一秒過ぎて行くのをじっと耐えるだけなのだ。
そんな状態が一週間ほど続き、その間は吐くだけ吐いて、反対に水も食べ物も一切口にすることは出来なかった。やがて吐くものがなくなると胃液と胆汁までも吐いてしまう。一回の治療で、5キロも体重が落ちてしまった。わずか一週間で体力もかなり落ちていった。
「明日もまた生きて行こう 十八歳でがん宣告を受けた私」
横山友美佳著 マガジンハウス 75項