イチローを一流に育てた父 12

今まではイチローのお父さんがやってきた、普通の人にはとてもできないような大変さを中心に紹介してきましたが、ここからは私が面白いと感じた、ユニークな指導法をいくつか紹介していきます。

イチローは小学生の頃から毎日練習し、毎日バッティングセンターにも通っていたので、それだけを聞くと、多くの人は物凄い練習量で、きっとハードにやってきたんだろうな、と間違えて解釈してしまう。

イチローのお父さんは、イチローに無理させるようなことは、決してしなかった。

 

「肩は消耗品である」、「きつい練習を長時間かけてやっても意味がない。体が壊れるだけだ」、と言うのが、お父さんの持論。

野球部入部の時にも、要領よくやりなさいと、よく言って聞かせていたそうです。

「いいかい一郎、要領よくやるんだぞ。全力でやり過ぎて、自分がパンクしたんじゃ元も子もないよ。自分の体力を考えて、マイペースでうまくやりなさい。何事も、”過ぎたるは猶及ばざるがごとし”だからね」

 中学・高校のクラブ活動では、つい目先の勝利にとらわれ過ぎるあまり、練習がオーバーペースになったり、詰め込み指導に走りがちになる。その結果、せっかくいい素質をもちながら、潰れていく子や野球嫌いになってやめてしまう子も多い。実際、私もそういう例を数多く見てきた。

 何回も言うようだが、イチローにはまだまだ先に大きな目標があった。中学三年間で燃え尽きてしまうような、後先を考えない無茶な全力疾走は困る。毎日一歩一歩でいいから前へ進んでくれればそれでよし。一日に10歩も進んで、途中で脱落という事態は避けたかった。

「溺愛我が子イチロー 鈴木宣之著 小学館 147項」

 

一流になるためには、誰よりもハードな練習をしなければいけない。テレビでもそうした映像をよく見るし、そんなイメージがあると思います。

確かにそれはそうかもしれないですが、抜く所は抜かないとパンクする。また無理をすることとは、少し違う。

それを全部、頑張らなければならない、無理してでもやらなければならないと誤解していると、才能を潰し、故障する。病気であれば、うつ病になったりする。

 わたしは毎日練習を見学していましたので、イチローにとってその内容がきついという印象はもってはいませんでした。要領がいいイチローのことだから、練習も適当なところで「手を抜いて」いました。

 わたしは「やっとるな」と思ってニヤニヤしていたものです。

「イチローとわが家本当の話 鈴木宣之著 家の光協会 184項」

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