お金のことに関して言えば、イチローのお父さんは、イチローが欲しがるものなら、特に野球道具はなんでも買い与えた。
やり始めた当初は市販品の量産モデルだったが、本格的に野球を始めると、プロの選手が使っているプロモデルを欲しがって、四万円もするグローブも買い与えたとか。
お母さんの方は、「そこまでしなくても」と反対したそうですが、イチローが欲しいものを買い与えることで、野球に対する興味、集中力を持続してもらう狙いがあった。
私の役目はただ一つ。いかにイチローを脇道にそらせないで野球を続けさせるか、この一点だった。
またイチローが、人一倍道具を大切にするというのもある。
何より、「お父さんは、ぼくにはあまり協力的ではないんだ」という考えが子供に生じたら、マイナスになってしまうと私は考えた。
「溺愛 我が子イチロー 鈴木宣之著」より