自信は持つな

自信を持ちなさいと言う。本当にそうでしょうか。

確かにそうなのですけど、自信というのは基本があって、それを積み重ねてきた場合、それが正解な訳ですから、それを信じて取り組めば、上手く行きます。しかしそうでない場合、間違ったものをいくら信じても、上手く行くはずがありません。

またそうした自信というのは、ただの勘違いで、謙虚さも失うことになる。

そうなると正しい人の話も聞けなくなり、間違いをやり続けることになるため、自信を持つことよりも、謙虚さを持つことの方が重要でしょう。

なんでもそうですが、自信という表面的な形を真似てもダメなのです。

 

本当の自信と言うものは、実力があって初めてつくものです。

そうでないものは、全て偽物の自信。一般的にはオレオレ系の様に、自信満々な人が実力があるかのようにも思えますが、実力があるのと自信はまた別のものだし、それは本当の自信ではないでしょう。

プロアスリートより自信を持っているアスリート、小出監督より自信を持っている指導者、タイガーウッズのお父さんより子育てに自信のある親など、いろんな人がいると思いますが、いくら自信を持っていても、実力があるとは限りません。

実力がなければ、ただの勘違いです。

詐欺師にしても不安げな詐欺師はいない。皆自信に満ち溢れている。それに騙される。

 

自信というのは勘違いと似ているものだし、自信を持つと同時に謙虚さを失いやすくなるので、本当の自信を持つことはとても難しい。それよりも虚構の自信を持つことの方が余程簡単です。

知識を得ればそれと同時に感性を失い、そこから勘違いの自信が生まれる。

これは人が一つのことに気が囚われると、他のことが分からなくなってしまう性質からですが、知識がなければ、物事を漠然と捉えられるのに対し、知識を持ってしまうと、それに限定され他のことが見えなくなります。

そうすると、全てを分かったかのように気になり、感性を失い、自分は分かっている、自分は凄いといった勘違いを起こす。

 

何かの不安を抱えていれば、それをかき消すために、自信を持ったりします。例えば会社の社長ともなれば、相談相手がいなかったりして、自分が正しいかどうかの不安が常に付きまとったりする。

それを自信を持って、不安をかき消し、自分は正しいんだと言い聞かせる。

もちろん社長だけでなく、親だってそうでしょうし、指導者だってそうでしょう。

しかしそれは虚構の自信に過ぎないから、ガラス細工の様に非常に脆かったり、神経が張りつめているなど、常にストレスにさらされている。

子育てで相談相手もいなく、一生懸命やってきたお母さんなどは、一生懸命やっているという自信はあるものの、周りにいる人間を全て敵とし、ちょっとでも何かがぶつかれば、全てが砕け散ってしまうほどの不安を抱えている。

一生懸命やっているという自信も、その努力そのものが正しいのかどうかの判断が出来なくなり、また違う方法の方がいいんじゃないかと言うアドバイスも、「私は一生懸命やっている」と言って、聞き入れられなくなるため、非常に恐ろしい。

 

もう一つ、親や先生など教える立場の人は、教えると偉くなったかのような錯覚に陥ってしまう為、余程気を付けない限り、勘違いの自信を持つようになる。

教える立場の人は、一種のリーダーですが、リーダーというのは中々なれるようなものではないので、それになれるというのは、とても心地が良かったりもする。

それでおかしくなっていく。

また権力を使えるから、権力を行使したりする。

スーパーなどどこか行った時、子供のいるお母さんなどを観察していたりするのですが、暴力や力で圧力をかけるなど、まるでヤクザみたいだなみたいだなと思う事がある。

自分のいいなりにならない奴、従わない奴は気に入らない。そのため権力を持って制する訳ですが、そうすると自分の方が偉いかのようにも思うし、自分が子供より正しいと思うようになる。

権力や力を使えても、それを使わない事の方が難しい。

ただ最近では、叱れないお母さんもいたりしますが、だからと言って自信を持つべきかというのは、それはまた少し違う話になります。

 

テニスの杉山愛さんのお母さんも、子供が一歳ならお母さんも一歳と言うようなことを言っていましたが、教える立場の人は、十分気を付ける必要があると思います。

自信を持たなくても、尾木ママみたいなやり方もある。

教えるから偉いとは必ずしも限らないし、それよりも下手な自信を持てば、子供の素質や才能を潰してしまうことになるかもしれないし、もし戦争であれば、部下は皆死んでいくことになる。

自信など持たず、謙虚に、楽に生きてもいいんじゃないでしょうか。

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