人は自分の登った山の高さまでしか見ることが出来ません。
高い山まで登った人であれば、それだけ沢山の景色を見ることが出来ますが、それ程高い山でなければ、見える景色は少ない。しかしそれが全ての様に思えるのです。
だから経験のある人にとっては、そんなことをやったら失敗するだろうと分かることでも、経験の無い人にはそれが分からないから、「やってみなければ分からないじゃないか!」となる。
ドラゴンボールzのトランクスが、スーパーサイヤ人を越えたパワーアップ型の変身を出来るようになったため、トランクスはそれをやらなかったベジータを越えたと思っていた。
しかしベジータ自身も、本当はその変身をやろうと思えば出来たのですが、パワーアップに特化した変身は、スピードが落ちてしまう欠点に気づいていたため、それはあえてやらなかっただけなのです。
しかし経験の少ないトランクスには、それがまだ分からなかった。
筋トレにしても、筋トレにはデメリットが無い、ただやればいいと思っている人もいますが、やればいいんだったら、2歳からでもやらせればいい。
それなのに、そういう人たちはなんでやらせないのか不思議に思う。
その時はスポーツをやっていなかったから?
もしやっていたら、もっと凄くなっていた?
それはただ他の人がやっているから、その真似をしているに過ぎず、デメリットがあるとかないといった話は、どうでもいいのです。
またイチローは、高校になるまで筋トレはほとんどやっていませんが、それとは違うやり方をするというのは、イチローを越えた練習法で、大人になった時には、イチローを越える選手になれると言う考えでしょうか。
そうではなく、イチローが筋トレをやっていなかったことを知らないのです。
知識や経験がないから、筋トレというものを知って、「うひょひょ、これやるときっと凄くなるに決まってるぞ!」と思って飛びついてやる。
確かにプロのアスリート達やオリンピックメダリストたちは、筋力トレーニングを行っているし、高い筋力は絶対的に必要になります。
しかしだからと言って、小学生もやった方がいいなどというのは、全く別な話で、またある人に合っていたから、それが自分の子供にも合っているというのも、全く別。
健康法にしても、皆それぞれ体質が違うのだから、誰かに合っていたからと言って、それが自分に合うとは限らない。
それと、その人の段階というのがあります。
過程を無視して、結果だけを真似しても意味がないのです。
それが分かるためには、それなりの経験を積まなければ分からない。
私は体とトレーニングに熟知して分かっているから、筋肉がパンパンに張って、素質が潰れている子供にはやらせなかったりしますが、筋トレに限らず、知識や経験、また感性や信念などがなければ、自分が知ったことや、皆がやっているようなことには、飛びつきたくなるものです。
本当はやらない方がいいという選択肢もあるのですが、特に今のように忙しい時代は、のんびりしていられないので、無駄なことであっても、何かやりたくなるし、やらないよりやった方が効果があると考えてしまいます。
それで、「あぁ忙しい、忙しい」と言って、慌ただしく過ごす。
そうしたことからも、焦って飛びついてしまう事は、仕方がないでしょう。
しかしそれでは上手く行かないので、「間抜け」にならないよう、普段から一呼吸置き、間を作ることを心掛ける。簡単に言えばリラックスすする時間を作るという事ですが、忙しくなるとどうしてもそれを忘れてしまい、時間や時代、環境に振り回される。
またそうやって一生懸命になればなるほど、人の話も聞けなくなる。
成功するための秘訣は、知識や経験のある人の話を、よく聞くことですが、自分が強くなり過ぎて、自信、プライド、不安、恐れ、偏見、一生懸命さなどに囚われると、それが優先されるために、そうではない考えは聞き入れられなくなります。
たまに実際には聞いていないのに、「自分は人の話を聞きいれることが出来る」と勘違いしている人がいますが、それはその人には言っても聞き入れられないから、都合の悪いことは、言われなくなっていることと、
強い不安や恐れなどあって、それを隠すために、自分を自分で説得したりしていて、聞いていないのに聞いているように思っているためです。
心に余裕があれば人の話を聞けますが、余裕がなければ入るスペースがないので、聞き入れられません。
ドイツ帝国初代宰相のビスマルクは、「賢者は歴史に学び、愚か者は体験に学ぶ」と、言っていますが、成功者の歴史を勉強しそれに従えば、成功します。
それに対し、我流で考え出したやり方では失敗する。
そのこともよく知っていれば、「自分はこうだ!」といったことではなく、人の話を聞くことやそれに従うことなども、それ程難しくなくなる。