正解なんか分からない

ほとんどの人は、正解を自分で決めがちです。

しかし本当に正解かどうかは、自分の判断では分からない。自分の判断で正解だと思っているのは、自分が正解だと思っているだけです。

ではどうやって正解が分かるのかと言うと、検証していくしかない。

例えばハンバーガーを毎日食べ続けるとどうなるのか、そういった実験を行うことによって、体などに変化が現れ、「成る程、自分の体では、ハンバーガを食べ続けるとこうなるのか」と、正解がわかる。

でもほとんどの場合は、検証をしないで、先入観で正しいと判断してしまう。

 

私はいつも指導していて、

「人間は正しいことを信じるのではなく、正しいと思いたいことを信じる」

というダーウィンの言葉が思い浮かんできます。

多くの人は真実や正しいことを信じていると誤解していますが、そうではなく、自分が正しいと思いたいことを、信じたいだけなんです。

 

実業団レベルの選手を指導しても、自分のやっていることを信じたいだけで、全く検証していないことに驚く。

例えば陸上の中長距離選手は、補強トレーニングで腕立て伏せを行ったりしますが、ある選手の腕立てを見ると、何の意味もない腕立てをやっている。

意味がないどころか、無駄に上腕三頭筋が硬くなっているので、その分血行が悪くなるので、スタミナを無駄にロスし、やらない方がマシなんです。

しかし何となくやった方がいいイメージだけで行っているから、間違いに気づかず、ただやっている。

 

またある選手は、全日本で2位に入るなど、オリンピックに十分いけるだけの能力を持った選手でしたが、ウエイトトレーニングはやっていないが、大腰筋を鍛えるトレーニングをしているとのことで、それを見ましたら、大腰筋なんかまるで使えていない。

これもマイナスがなければまだいいのですが、そのトレーニングで、無駄に股関節を硬くしてしまって、無駄にタイムをロスしている。

オリンピックを目指していると言う選手が、どうして検証もしないトレーニングしているんだと、愕然としました。

 

残念ながらこの選手は、今までの自分の努力を信じて、ここまでやってきたという選手だったので、今までの練習法を変えることは出来ませんでした。

壁にぶち当たった場合、レベルを更にワンランク上を目指す場合は、今までの自分を一回否定する作業が必要になりますが、それが出来なかったら変われない。

挑戦するというのは、そういうことで、今までのやり方でもっと頑張ることが挑戦ではない。

 

しかし私はこの経験のおかげで、モチベーションの持ち方が、重要であることに気づかされた。

今までやってきた努力をモチベーションにした場合、その練習法が間違っていた時には、そこがその選手の限界。

例えるならパチンコで今までつぎ込んだ分を、今度は取り返すぞみたいのと、同じことなんです。

 

だから高いレベルを目指す場合には、過去のものをモチベーションにしてはならない。

未来のものをモチベーションにする。

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