症状に問題があるのなら

胃が痛い人は、胃に問題がある。腰が痛い人は腰に問題がある。医者にしても痛みがある人にしても、多くの人はそう考える。症状が問題であり、それを取り除けばいいと。

もしそうだとすればですね、顔色悪い人がいたとすれば、化粧でもして顔色をよくすれば、治るという事だし、そうしたいと考えていることと、同じことではないでしょうか。

 

しかし顔色が悪くなるのは、顔ではなく他に何らかの問題があって、その結果顔色が悪くなったのであって、顔色そのものには問題はない。

それと同じように、どこかが痛いだとかがあっても、それそのものが必ずしも問題があるとは限らず、何らかの問題を、そこの部位を使って現している可能性もあるという事です。

こういう考えは少し難しいですけどね。

皆の尊敬するお医者様が、胃が悪ければ切ってしまえ、肝臓が悪ければ切ってしまえ、という考えですから、一般の人が症状に拘ることは無理もない。

 

本質は全てにおいて共通しているので、この考えをスポーツに置き換えて考えてみる。

例えば野球のピッチングでは、投げる時に肘が下がっているとよくないとされ、だから少しその知識をかじった監督であれば、選手がそういうピッチングをしていると、もっと肘を上げろと注意する。

そうすれば直ると思っているのですけど、そんなことをすれば、仮に肘が直ったとしても、必ず他がおかしくなる。ピッチングが非常にぎこちないものになってしまうのです。

問題となる部分が、目につくからそれを直接的に言うのですが、そうではなく、その元になっている所はどこかを見つけて、そこを直させ、結果として肘の下がりが直るという指導の仕方をしないと、正しく矯正出来ない。

しかしその元がどこにあるかを見つけることは、相当に難しいことで、余程の人でない限りそれは出来ません。

だからよく、いじられておかしくなった、いじり過ぎはよくないと言われていて、フォームをいじられた子供は、必ずおかしくなっている。

 

とまぁ、こういうことがあります。

で、こういうことがあって、また逆にそれをもう一度体や病気に置き換えて考えてみれば、気になっている部分は、必ずしも問題ではないと考えることが出来るし、むしろそれをいじくることによって、余計に悪くなる事もあり得るという事。

胃に問題があるから胃を切る。肝臓に問題があるから肝臓を切る。癌が出来たから癌を取り除く。そうすることによって、余計に悪くなる事もあり得る訳です。

しかし本当の元がどこかを見つけることが出来ないから、誰にでもわかる症状を何とかしようとする。スポーツの指導や子育て、社員教育などにしても、気になった所をそのまま言うでしょう。

そうではなく、その元は何かを考えて、間接的ないい方をしなければ上手くいかない。

子供が嘘をついたからと言ってそれを叱ったって、原因は変わっていないから、形を変えて次は違う何かをする。逆に原因が何かを考えて、それが変わりさえすれば直接それを叱らなくても、自然と変わっていく。

そういうところが難しいのですけどね。

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