助けたつもりが悪くもなる

最近会社を経営する社長の家族から相談を受けました。その社長は以前私が指導していて、現在指導は行っていません。

相談した人によれば、その会社にいるある社員が悪い社員で、その人に騙され、いい社員も辞めて行ってしまって、会社内から不満なども出て、そうしたことに全く気付いていないという。

その社長は本質的なことがまだわかりきれていなく、長い間指導していないので、それほどいい状態ではないだろうなとは思っていましたが、もしそれが事実とすれば、確かに問題でしょう。

また「いくら言っても、私のことは全然聞いてくれない」のだとか。

 

「なるほど、ただ社長というのは孤独ですからね。映画監督でも野球の監督でもそうですが、皆孤独との戦いでもある。周りが色々言って来ても、それを全て聞いていたのでは、軸がぶれてしまうから自分というのを持たなければならない。

しかしそれが間違えていた時には、悪い方向に行ってしまう。そのバランス感覚が重要なんでよね。」

そんな話をして、直接教える訳でもないから、現状を変えていくことは難しいな、ある程度落ちる所まで待つしかないかな、などと考えていると、

「方針のことを言っても、全然聞いてくれないんです」

という。

 

「ほっ、方針?なんだそれ?その社員が悪いと言っているのに、方針の話がどこから出てくるんだ?」

と思ったのですが、会議の仕方にも問題があるとのことなので、そうした関係からも方針のことを言おうと思ったのかもしれませんが、肝心な社員のことを聞いたら言っていない。

また、

「その社員は怖い人で」

だとか言うのですけど、怖いことなど何の関係もない。

直接その社員に言うのであれば、それは怖いことですけど、別にそうじゃないのだから、怖いとか何だとか一切関係ない。

 

「それね、一番肝心なこと言わないで、急に会社の方針のことを言ったって、誰も聞いてくれませんよ。私だって方針のことなど、他の人から口出されたら聞きません。それを口出しされて、それに従うようなことをすれば、もうどうしていいのか分からなくなるからです。

あなたが方針のことなど言う必要はないんです。

そうではなくて、あなたがやるべきことは、こう言う事がありましたよ、というのを知らせることです。後はそれをどう判断するかは社長の問題で、それを言わないで、方針のことなど言ったって、聞いてくれるはずがない。

本質的なことを誤魔化したり、はぐらかして話したらダメなんです。

 

それと、話を聞いてくれない、また今のような状況を作ったのは、社長の性格、責任と思うかもしれないけど、それはもちろんありますが、それを作り出したのは、あなたかもしれませんよ。

不良ってのは、勝手に不良にはならないんです。圧力を加えてその反発として、不良になる。否定するようなことを言えば、逆にそれに反発し、そっちの方向に行くものなのです。

だからあなたにも原因があって、あなたがそういう方向に仕向けてしまったのかもしれませんよ。」

 

こういう話をしたのは、今までの他の経験もあって話したのですが、この相談してくれた方は、優しい性格をしている。優しい性格をしているから直接的なこと、本質的なことが言えずに、話をはぐらかしてしまう。

そういうことはないでしょうか?

しかし肝心なこと、言うべきことを言わないで、誤魔化したことを言えば、相手にはその意味が分からず、受け入れることが出来ない。そうすると相手のためにもならないし、また話を聞いてくれたなかったと、自分もストレスを抱えることになる。

これは過去に何かがあって、そうしたことを言えなくなったからですが、直接的なことを言って、自分が傷つきたくないから、無意識の内に誤魔化した話をしてしまうのです。

しかしそれでは伝わらないから、そこでストレスを抱える悪循環に陥る。人は傷つくことや一歩踏み出す勇気より、普段慣れているストレスを選ぶ。

 

この相談者の場合であれば、「そういう社員がいるみたいだよ」と言ったって、実行するまでは大変かもしれませんが、やってみれば別になんてこともない。

もし受け入れて貰えなければそれはそれ。そしたらまた違うことを考えればいい。命までは取られない。

中途半端な優しさ、親切心は、自分を気づけることにもなり、それが原因で、その人をダメにしてしまう事もある。

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