力を手にして失うもの

昔は大学に行く人は稀であったため、学校の先生は、生徒の親からも尊敬され、「家のバカ息子をよろしくお願いします」、と言った感じでした。

しかし今では、大学に行くことが当たり前のようになってしまい、学校の先生よりも、学歴が上になっている。そういうこともあって、先生の立場は低くなってしまった。

それに加え、日本は欧米化が進んだことで、「お互い様」という考えもなくなり、こうなったのはあなたのせいだと、責任を全て相手に押し付けてしまうようなことが起きている。

更に少子化になったことからも、子供に過剰に関心を持って、子供を守ろうとする親の気持ちなど、色々な条件が重なったことで、今の先生という立場は、極端に言えば、あってないようなものになった。

 

医者で言えば、もちろん上の立場ではあるのだけど、患者の力が強くなったために、治療方針は素人である患者に、ゆだねるようなことになっている。

本来であれば、知識と経験のある医者が責任を持って、「こうしたらいいと考えます」といった立場を取るべきではないでしょうか?

しかしそれをした場合、もし万が一のことがあれば、訴えられてしまうため、専門家ではなく、素人に判断を任せるようになっている。

また患者は患者で、それに対し何も思わなくもなっている。

 

武道の世界で言われることですが、弟子たちは先生を選んでそれを習っている。だからそれと同時に、先生にも弟子を選ぶ権利があり、選んでいる。

その選ばれた弟子が、先生の教えを受け継ぐわけです。

もちろん教えを受け継がせるには、好きでない人、失礼な人には教えたくないというのも当然ながら、先生の教えを全て理解しようとする人でなければ、到底高いレベルの教えも理解できないからです。

しかし今は色々な環境の問題もあって、先生が弟子を指導することが出来ず、弟子が育っていない。

 

学校や部活も、子供に何かあれば、子供を守るのが親の役目でもありますが、一歩間違えばその気持ちを持っているために、親が子供をダメにする。

少なくても何かを習う時には、習う姿勢が無いとダメだし、それがなければ先生側も、挑戦した指導、本当にその人のことを考えた指導、高いレベルの指導、また深い所まで教えることが出来なくなるでしょう。

こうしたことも力を手にしたことで、気づかぬ間に失っていることがある。

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