凄過ぎるものは理解出来ない

凄い人、凄いもの、凄いことは、理解出来ますが、これが凄過ぎてしまうと、理解出来ない。

例えば優秀な人のことは、優秀な人なんだと理解出来ますが、天才のことは理解出来ない。天才は天才と認められるまでは、おかしな人間だと思ってしまう。

優秀な人は、常識をよりよく知っている人ですが、天才は、その常識を初めて違うと言い出すような人だから、常識とは違うことを言う人間は、おかしなやつだとなるのです。

 

かなり前のことですが、短距離走のオリンピックメダリストの腕振りについて、疑問を持ち、全く別な発想の腕振りを、考えたことがありました。

またその時は、その腕振りはまだ誰もやっていなかったので、一流を目指せるレベルのアスリートに出会うまでは、教えることは温存しておこうと、数名を除いて教えることはありませんでした。

教えると言っても、簡単な説明と、その腕振りを見せたぐらいだったと思います。

 

ある時、陸上が強い高校で、全国に行っていたと言う人がいて、この人にはどうせ見せても分からない、盗まれる心配はないだろうと思って、普段教えていた人たちにも、殆ど教えないことを、試しに見せてみた。

するとそれを見て、「それじゃあ、軸がぶれます」と言う。

軸というのは、言葉は皆知っていますが、実際にはそれを理解することは、とても難しいことで、「ほほぅ、あなた軸が分かりますか」と思ったのですが、折角凄いものを教えてあげたにも関わらず、案の定、その腕振りが理解出来なかった。

理解出来なかったと言うか、理解しようとしなかった。

 

そしてその後、何年後だったか分かりませんが、ウサインボルトが出てきたした。

ウサインボルトの走りは、その人の考えからすれば、軸がぶれまくって、全然ダメな訳です。

しかしそのぶれまくっている走りが、知っての通り、とんでもない記録を出した。

ボルトの走りを見て、その人が今どう思っているのか知りませんが、常識を超えたものは、絶対に理解出来ない。

理解出来るのは、自分の常識の範囲内でしかないのです。

 

また普通であれば、そういう場合、自分の凄さを教えたりするものだと思いますが、私はそういう人に対し、一々、「これはこういうことなんです」といった説明、説得、自分をアピールすることなどは、一切しない。

女性が合コンでいい男がいなければ、本気出さないように、駄目な人間に見せる。

 

本当に凄いものを理解する、深い世界を知る、視野を広げていくためには、自分の考えが間違っている可能性を、常に視野に入れておくことです。

それをしない限り、自分の世界からは抜け出せない。

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