成功する人、上手く行く人と、そうでない人との違いは、基礎や基本が出来ているかどうかの差だと言ってもいいと思います。
武道では、「基本に始まり基本に終わる」と言われたりもしますが、一般的には「そんなの基本的なことだぞ!」と、基本とは簡単なこととして、扱われていますが、そうではなく、基本こそが最も難しいことでもある。
最近話題の八村塁選手にしても、プロになってからも、基本をみっちり練習させられているとか。バスケットボールの神様、マイケルジョーダンも、基本の練習をみっちりやっていたそうです。
しかし、そういったレベルの人程、基本の重要性が分かっていたり、また運よく基本の重要性を教えてくれる指導者がいたりしますが、そうしたレベルでない人程、自分がちょっと出来るようになったら、「基本が出来る様になった」、「基本は出来ている」といった考えを持つようになり、テクニック的なことに走る。
人気漫画というのは、作者は本質をよくわかっていて、それが描かれていますが、スラムダンクでも、基本の重要性がさらっと書かれていて、よく分かっているものだ、と感心する。
確かに普通に考えれば、少し上手くなったのであれば、基本が出来ていると考えると思います。
しかしそれはあくまでも、普通の人の考えです。
基本を本当に分かっている、プロや専門家の見方は違う。
もっと言えば、基本より基礎が出来ているかで、基礎が出来ていなければ、基本が出来るようにはならない。
と言っても、基本や基礎が分からないから、
「その基礎って一体何なんだ?」
となると思いますが、肉体的なことで分かりやすく言うと、「素質があるかないか」、また「体の使い方が出来ているか」どうかです。
厳しいことを言えば、素質の無い人は、プロにはなれないですからね。
たとえば、野球のピッチャー、水泳、バレーボール、テニス、バドミントンなどで、肩甲骨に楽々に指が入らないと言うのなら、素質はないです。
もし何でも許されると言うのであれば、皆とっくにプロになっている。
今まで努力しなかった選手もいたでしょうけど、一生懸命努力した選手も一杯いたはずで、一生懸命努力したとしても、プロにはなれなかった訳ですよね?
その一つの原因が、素質です。
よく努力すればプロになれると思っている人はいますけど、努力の質が正しい人がそう思うのはいいですが、そうでない人であれば、同じ轍を踏むことになる思うのですが、どうでしょうか。
「素質が無い!」
「プロになれないのは、素質が原因だ!」
なんて事を言えば、夢も希望も無くなる人もいるのかもしれませんが、才能は生まれ持ったもので違いがありますが、素質自体は、元々誰しもが持っています。
しかし、才能と同じように、折角素質があっても、間違ったことを教えこまれるため、後天的に失っていくのですが、素質の無い選手でも、素質、「体の使い方」は変えることが出来る。
肩甲骨が硬いと言うのであれば、その原因を変え、施術を受けたりして、肩甲骨を柔らかくするようにすればいいだけのことでしょう。
だから素質の無い選手でも、素質のある選手になる事も可能で、そんなことを教えてくれる人が、殆どいない、知らない、取り組まない、と言うだけのことです。
そのため殆どの人が、体幹トレーニングみたいな、「強化」にすぐ走る。
質を変える発想を持てない。
しかし土台が間違っているままで、強化したらどうなるのでしょうか?
確かに最初の内は立派に見えますが、そのまま強化して行けば、ビルが傾くように怪我しやすかったり、土台がしっかりしている人が、築きあげて来たものと比較すれば、雲泥の差となるでしょう。
タイガーウッズのような天才型は、子供の頃からトップを走りますが、子供の頃は無名でも、大器晩成の様に、後から伸びてくる選手もいます。
それは、土台作りに時間がかかるために、結果として現れるのに時間がかかるからです。
そのため中間発表的な成績で言えば、土台作りを行わず、テクニックを強化して来た人の方が、成績が優秀だったりする。
しかしそれはあくまで、その時点でのものであり、基礎や基本を分かっている人、見る目のある人というのは、決して現時点での成績で判断するのではなく、基礎や基本のレベル、体の使い方といったことから、将来性があるかないかを見抜く。
たとえば、株で投資する場合、一流企業だから投資する、ということもあるのでしょうけど、大きく利益を出すためには、今は有名ではないけど、将来性のある企業を見つけて投資する。
その場合、現時点では低い。低いけど伸びないということではない。
逆に今が良くても、会社の実態が悪いのであれば、急落することだってある。
どうしても基礎や基本を見れないと、未来を読めず、現時点での成績でしか判断することが出来ず、今がいいと、「基本が出来ている」「上手く行っている」と考えてしまいますが、
人は間違うものだから、小さな間違い、また日々間違うことは問題ありませんが、それが行き過ぎてしまうと、後には戻れなくなって、本当の間違いになる。
体の使い方は変えることは出来るのですが、間違ったことをやって来た人程、間違った癖が身に付いてしまっているために、それを直す分、時間がもの凄くかかる。
また余計なことを何もしていないのであれば、まだ比較的短期間で直すことも出来ますが、日々癖が付くようなことをやりながらとなれば、10年ぐらいかかったりもするので、スポーツでは間に合わなくなったりもするでしょう。
心理的にも、今まで一生懸命やって来てのなら、「自分は正しい!」「自分は頑張ってきた!」という、プライドなどが生まれ、聞く耳すら持てなくなり、今まで何年も頑張って来たものを全て捨てて、もう一度作り直すというのはとても難しいことです。
しかしちょこっとだけだったら、「それ違いますよ」と言われれば、「そうなんですか?」とだけで済む。
そうならないために、一生懸命頑張る前に、そもそもそれが本当に正しいかどうかを細かく確認し、修正するようにする。
また基礎とは何か、基本とは何か、体の使い方が合っているのかどうか、一流の体の使い方はどうなのか、肩甲骨に楽々指が入るくらいに柔らかいのか、といった視点から考えるようにし、違っている所があれば、それを受け止め修正し、
テクニックに走らない様、「基本に始まり基本に終わる」といったことに心がける。
どんなに気を付けていたって、勝利至上主義にも直ぐなりますからね。
それぐらい人は弱い所があるし、見失いやすい。
どれだけ基礎や基本が出来ているかが全て。