全てに陰陽、両面の法則がある様に、一つのものには長所と短所、メリットとデメリットが必ずある。
しかし人はいい所だけを見たいものだし、メリットとデメリットに気づくことは難しい。
たとえばタバコ。
知識的には色々知られていますが、タバコを吸っている時はどこも痛くもなければ、死んだりもしないし、気持ちよさを味わえる。
だからそこだけを見れば、いいようにも思える。
しかし長年吸い続けることによって病気となり、後からタバコはダメだったんだと、思ったりする。
細かく言えば、タバコは実はいいんだと言う人もいたりして、どっちが本当なのかよく分からなかったりもしますが、健康の話は別にしても、私であれば、タバコ臭い人が営業に来た時に、その人からは絶対に買わない。
玄関がタバコの臭いで暫く取れなくなり、困ってしまいますが、若い人ややり手の営業マンなどであれば、気を付けてくれている人もいるものの、ちょっと古いおじさんだと、気遣いが出来ないので、そういう人からはいいサービスは受けれないだろうと思って、買わないのです。
しかし全身タバコ臭に慣れてしまっている本人は、商品やサービス内容以前に、「まさかそんなことがあったなんて」、とその時は分からない。
後になってから初めて、その問題に気づくこともある。
たとえば甘いものやお菓子。
食べている時はおいしい。
しかしその時は問題はなくても、食べ過ぎれば、後々太ったり、病気になったりする。
たとえば薬。
薬を飲むことによって、痛みや症状が和らぐ。
だからいいように思うのですが、後々副作用が現われることがある。
たとえばスポーツの練習やトレーニング。
小学生の子供に、走り込みや筋トレなどをやらせれば、他の子よりもパフォーマンスが上がったりする。
だからいいと思ってしまいますが、後々怪我をする様になったり、身長が伸びなくなったり、成長痛になったり、素質や才能を潰して伸びなくなり、後から抜かれてしまったりする。
つまりデメリットというのは、どんなものでもその時は余りよく分からなかったりするのです。後になってから、初めてこうだったんだと気づいたりする。
もちろん気づいたのならまだいい方で、気づかない事の方が多いかもしれない。
それだけデメリットって難しいんです。
商品やサービスにしても、メリットばかり言って、デメリットは言わないからよく分からない。
最近ある人が、3万のセミナーが今なら半額だと言うので、それに参加したそうです。サイトにはいい事が書いてあって、「私も行けばそうなるんだ」と思って期待して行ったのだけど、自分でも出来るぐらいちょこっと変わった程度で、思っていたこととは全然違ったようでした。
私も今年、シェーバーを買って失敗した。
それは刃が5枚もあって、スキーのモーグルの様に首がふりふりして動くCMをしているものだから、「これはきっといいぞ!」なんて思って買ったら、全然ダメでしたわ。笑
ついでに言えば逆もそうで、よくないものだと思っていたものが、後々になって、あれは実は正しかったんだ、と分かったりもする。
天才の考えなどは典型的で、天才を理解出来るのは天才だけで、凡人には理解出来ない。
理解出来るのは自分の考えの延長にある、少し凄いもので、それを越えてしまうと全く理解出来ず、理解出来ないものは、「あれは間違っている」と考え、自分より少し優秀な人が、「あの人は凄い!」と思ったりする。
天才を理解出来る様になるのは、「この人は天才です」と、世の中に認知され、お墨付きを付けられてからなのです。
結局いくら自分ではこれが正しいと思っても、知識、経験、感性など自分のレベルでしか物事の判断は出来ないですが、人は間違うものだから、自分の考えに過信せず、また自分の思いや考えなどがあると判断が鈍るので、まずニュートラルな状態になることを心掛けることですね。
自分を説得しようとしていたり、浮かれていたりしているのであれば、完全に冷静さを失って、正しい判断が出来ない状態と言えます。
それとデメリットが分かるまでに、時には数年という期間が必要なこともある。
たとえば添加物や薬の影響が、後々どう及ぼすかというのは分からないので、短期的に問題が無いようであれば、大丈夫なことにして商品化されていますが、それと同じように、本当に検証しようとすると、デメリットが分かるまでに、長い時間が必要なこともあるのです。
ある武道の達人は、鍛練法が正しいかどうかが分かるまでには、数年かかると言っていました。
スポーツをやっている小学生を連れてきたある親は、「自分たちがやって来たフットワークのお蔭で全国大会に行けた」と言っていて、確かに私もその通りなのだろうと思いました。
しかし全国に行けたからと言って、その方法がオリンピックに繋がる方法かどうかの証明にはならない。その時点で分かっている事は、あくまで小学生の大会で全国大会に行くことの出来た方法なのであろうということぐらいなのです。
だからもしかしたら小学生がピークで、中学生に入ったらダメになるかもしれない。
芸能人でも、芸能人以外の人でも、今がよくてもそれがいつまでも続くとは限らないように、今の状態が後々まで続くもの、右肩上がりに上がって行くものである保障は、どこにもありません。
株やFXみたいなものです。
上がっているものだから、「もっと上がるかな」、「上がり続けるかな」と思ったら、急落する事だってある。その場合逆にかけていた方が、一時的にマイナスになって損したように見えても、大きく利益を出せています。
しかし今がいいと、何となくその延長でずっといいような気がしてしまう。
そこが大変やっかいな所ですが、全てにおいてメリットデメリットがある事から、まさかこんなものにデメリットなどあるはずないというものでも、デメリットはあるので、なるべくニュートラルになるよう心掛け、過信せず、検証を続けて行くことでしょうか。