スポーツで成功しているアスリートの多くは、負けず嫌いが多い。それはスポーツの時だけに限らず、トランプでもじゃんけんでも、どんなものでもとにかく負けたくない。そんな性格をしている。
しかし全てにおいて長所は短所であり、負けず嫌いの長所を上手く生かすことが出来れば、スポーツで活躍することも出来ますが、負けず嫌いが短所になって働いてしまう事もある。
例えば負けたくない気持ちから、ずるをしてしまうことはあるでしょう。ゴルフではスコアをちょろまかす人はよくいる。もしくはレギュラーを下級生に取られ、いじめをしたなんてことはよくある事でした。
スポーツ以外でも、負けたことや敗北感から、相手を妬む、嫉妬すると言うことは、普通にあります。
特に問題なのは、負けず嫌いはどんなものでも負けたくない、負けを認めたくないため、間違いを認められない事にも繋がる。
例えば間違ったプレーをした、間違った考え方をしている、間違った努力をしている、というのであれば、さっさと気持ちを切り替えて、正しいものに取り組めばいいだけのことですが、それも一歩譲れないような感じになってしまう。
また素直な性格の人であれば、間違いや問題を指摘すれば、そうなんだと何の抵抗もなく受け入れますが、負けず嫌いの性格では、それに反発し、素直にアドバイスを受け入れられない。
頑固な人もいると思います。
それによって成長が遅れてしまう。
もう一つは、勝ち負けや、出来たか出来ないといった結果に拘りやすく、過程を見ることが出来なかったりもすること。またそれは一歩間違えば、その結果の判断から自分は出来ていると勘違いし、勝ち誇った態度、傲慢な態度にもなる。
よく子供が親の言う事を全く聞かなくなったりしますが、一つには、この勘違いが暴走した結果です。
それと出来なかったりするとムキになったりしますが、ムキになることは力んでいるということ。
一流のアスリートたちは負けず嫌いでありながらも、自分がパフォーマンスを発揮する瞬間は、恐らく勝ち負けのことなど考えてはいなく、特に高いパフォーマンスを発揮した時は無の状態で、精神のコントロールにも優れています。
セミナーでは、一般的な力を使わない体の使い方を行ったりしていますが、相手に負けたくないという気持ちがあると、結果だけを求めて、全く別物になりがちになる。
結果だけをやろうとするので、「ゆっくりやりなさい」と言っているのに、どうしてもスピードをつけて、誤魔化したものをやろうとしてしまうのです。
またそれを出来たと思ってしまったりもする。
しかしそれは、知恵の輪で無理くり引っ張って外して、「できた!」と言うようなもので、全く似て非なるもの。
もしこだわるのであれば、結果や形に拘るのではなく、過程の所に拘ればいいんですね。
過程に注意が集まれば、他の所のこだわりや囚われは無くなる。
一般的にスポーツでは、負けず嫌いでなければ駄目だとされていますが、今説明してきたように、負けず嫌いは短所でもあるので、必ずしも負けず嫌いな性格でなくても、いいのではないかと思っています。
もちろん負けてへらへらしているようではダメですが、「取り組んでいるスポーツが大好きだ」、「私は夢中になって取り組むことが出来る」、と言う人がいれば、それでいいと思います。
親が負けず嫌いだと、短所の面が働きやすくなるので、気を付けなければなりませんね。