一回の治療は、三週間を1クールで、それを14クールの予定で行う。だからあの苦しい思いを、あと13回もやらなければならない。
それでも、入院中恋人に突然別れを告げられ、失恋を経験することになったり、一番気にしていた髪の毛が抜け落ちることなど、苦しみに何度もくじけそうになりながらも、横山さんはそれを乗り越え、癌細胞が消え、予定通り約1年で退院する。
またそんな苦しみを抱えながらも、入院中は勉強が遅れないようにと、病院内にある養護学校に通うようになり、遂には早稲田大学を受験し、現役で合格してしまうのです。
しかし横山さんの試練は、これで終わりではなかった。
癌も無くなり早稲田大学へ入学し、友達も出来、新しい生活をスタートしていた矢先、2006年6月に行った定期検査で、再び癌が見つかる。
1年間も苦しい治療を続けたのに、元気に過ごせたのはたった四か月間です。相当なショックだったでしょう。
もし治療をしなければ半年の命だという。
担当の医師は、横山さんに三つの選択肢を与える。
一つは、今まで使ったことのない薬を使用して、もう一度強い治療をしてみること。
二つ目は、弱い治療に変え、完治は出来ないが今の状態を保つ、つまり病気と共存をしていくこと。
そして三つ目は、特に何も治療をしないで、残された時間を楽しく送ること。
ただし一つ目も二つ目も、治療をしてみない限り、絶対に効果があるとは保証できない。
「もう死んでもいい」などと考えたりもしたものの、死んでは最愛の家族に会うことが出来なくなることに気づいて、生きる道を選ぶ。
そのためには完治を目指し、一番強い治療を受けることに決める。