基本を守り続ける難しさ

そもそも殆どの人が、基本を学ぶことが出来ない。

「これは基本的なことだぞ」とよく言うように、基本は易しいイメージを持たれていますが、それは基本を知らないから出てくる言葉で、本当は基本が一番難しい。

たとえ基本のようなものを習っても、それは基本風なもので、似て非なるものです。

 

この時点で大部分の人がふるいにかけられてしまうのですが、次に基本を習う機会に恵まれたとしても、基本から外れることなく、それを学び続けることが難しい。

一流の指導者に巡り合っても、習う人全てがその教えに忠実に従い、同じように一流にはなっていかないように、我流の世界に行ってしまうのです。

これが本当に難しいのです。

 

基本について少し説明すると、例えば武道で構えがありますが、構えの手順や形を覚えるだけなら、誰でもその場で、直ぐに覚えることが出来ます。しかしそれは表面的な形を真似たに過ぎず、それだけではお飾りみたいなもの。

重要なのは構えの中身です。

それが出来ないから、色々なことをやって最終的に基本に戻ってくる。「基本に始まり基本に終わる」というのは、そういうことです。

武道でも他のものでも最初に基本を習うのは、簡単だからではなく、一番重要だからそれを最初に教える。しかし一番難しいから、当然出来る訳がない。

出来るのは一番最後。もしかしたら一生出来ずに終わるかもしれない。

もしやって直ぐ出来たと思うのは、全くの別物だったり、自己解釈です。

 

子育ての基本は、子供が幸せな人生を送れるかどうかですが、これにしてもどうしても道から外れてしまう。

例えば子供は親から十分な愛情を受けて育ちさえすれば、それだけでも幸せな人生となる可能性が高いですが、今の時代であれば、愛情を受けて育ったと感じる子供は少ないのではないでしょうか?

中には親がしてくれたことに対し、多少の反感を持ちながらも、それは親が私のことを思ってしてくれた、愛情から言ってくれたことなのだから、腹を立ててはいけない。自分が悪い、自分の方が間違っている、などと考える子供もいるかもしれません。

しかし残念ながらそれは、愛情ではない。

この辺のことはまた違う機会に説明しようと思いますが、百パーセント正直な人は、正直がどういう事か知らないし、正義の人は正義を知らない。そうしたように本当に愛情を持って育てられた人は、これは愛情なのだろうなどとは考えない。

自分の子供であっても、純度百パーセントの愛情を注ぎこむことは難しいですが、それだけ基本が難しいのです。

 

また基本は余り目立ちません。基本以外のことが目立つし、それをやりたくなる。

ダイエットであれば運動と食事よりも、エステやサプリメント、通信販売のグッズで痩せようとするし、子育てなら勉強が出来る様に育てること、偏差値の高い大学に行かせることが、子供のためになるように思ってしまう。

スポーツでも何でも、結果は誰にでも分かるが、結果を出すまでの過程は分からないから、結果だけを真似しようとする。

そういったように基本ではなく、違う所に目が行ってしまい、またその誘惑が強いため、基本からどんどん離れていってしまいやすく、多くの人が中途半端になってしまうのも、そのためです。

 

基本を身に付けるためには、昔の教えで言う守破離が大事になってきますが、守破離の守を知らなかったり、先に進みたいからと守を飛び越してしまうと我流になる。

と言っても、基本が分かればプロレベルだし、基本が出来れば名人、達人に皆なれてしまいますから、出来なくて当然なのですが、本当に高いレベルのものを目指すのであれば、基本を勉強しなければならないし、

また別に高いレベルでなくても、子育てであっても、子供のことを思うのであれば、基本を守った育て方をする。

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