よく自分の延長で相手を当てはめて考えがちです。それで「どうしてあの人はああなんだ」みたいに、ぶつかり合いが起こったりする。
またスポーツでは、自分の考えたやり方、知っているやり方で行うから、そのレベルでしか上達できない。プロになる人たちはどういった練習をして来たのか、そういったこと、自分が知らないことを勉強して、取り組む必要がある。
相手の立場になって考えるということですね。
それは薬ということでも、同じことが言えるのではないでしょうか。
薬はいいもの、必要なものといったイメージがあります。
確かにその通りだと思いますが、副作用もあるから全てにおいて、また何が何でもいいものとは言い切れない所があります。
そのことからもう少し考えてみると、より深い所、具体的な何かが分かってくるかもしれない。
たとえばもしあなたが製薬会社の経営者だとして考えてみましょう。
あなたは世の中の病気を無くそうと考え、また天才的な頭脳から、1錠飲めばなんと病気が治ってしまうという薬を開発した。
しかし1回しか薬を買って貰えないので、売り上げが伸びず、会社は倒産。
ゲームオーバー。笑
薬の開発には莫大な研究費がかかる。
薬を商品化させるには、その元を取らなければならない。
もしかしたらあなたは普段の仕事で、ボランティア精神に溢れ、キツキツな生活でも、赤字でも、これがやりがいなんだと、頑張ってやっているのかもしれませんが、大手の会社であれば、そんなことはやっていられない。
多くの社員も抱えているし、また株主がいるから、あなたがこれをやりたいといったとしても、とにかく売り上げを伸ばさなければならないのです。
じゃあどうするか?
売れる商品、ヒット商品、目玉商品を開発する。
その売れる商品、ヒット商品、目玉商品とは何か?
それは治る薬ではなく、多くの人に飲んで貰える薬で、更に飲み続けてくれる薬。死ぬまで飲み続けてくれる薬であれば、最高です。そうすれば、ずっと顧客になってくれ、薬が売れ続ける。
利益を出す商品というのは、そういう感じじゃないでしょうか。
では、売れる商品が出来たとしたらどうするか。
広告や営業ですね。
経営をしたことのある人なら皆分かる事ですが、そうでない人は、いい商品だったら、勝手に口コミで売れると思っていたりする。
そんなので売れる訳がなく、広告する必要があるから、車でも何でも、莫大なお金をかけてCMを流している。
病院で、鞄持ったスーツの人をみたことはないですか?
あれは、「この薬を患者に勧めて下さい」と、営業に来ているのです。
またそれは当然一社だけではないでしょう。
「いいや、こちらの方がいい商品ですよ」という人だって、当然いることで、ゴルフや食事のお誘いもあるのかもしれない。
医者は別に公務員ではないから、ゴルフ行ったり、食事に行ったりすることは、全く悪いことではない。
ただ、今は製薬会社でつくる公正取引協議会が接待の規制を強化し、日本製薬工業協会もガイドラインを作り、医師や医療機関に支払った講演料や研究開発費、接待費までを開示を求めたり、各社がさらに自主規制をかけ厳しくなっている。
簡単に言えば、接待競争になればそれも大変だからです。
だから今の下っ端の医者は、接待のようなものは基本的に受けてはいないでしょう。
そう言えば、この間行っていた嵐の二宮和也さんが主演を務めたドラマ、「ブラックぺアン」で、治験コーディネーター役の加藤綾子さんが出ていましたが、今営業は、女性になってきているらしい。
生命保険も女性ですよね。
接待が出来ないとなると、かわいい子作戦に切り替え、今はドラマの加藤さんのように、かわいくて知識の豊富な優秀な人が営業成績が高いと思います。
ちなみに、原作である海堂尊氏の『ブラックペアン1988』(講談社)では、天才外科医・渡海征司郎の下で、研修医として経験を積んでいる世良雅志(竹内涼真)が、主人公。
ドラマも誰が主演をやるかというのは、力関係も関係しているのかもしれませんね。
話を戻して、営業の話でしたが、ちまちま営業しても大変なので、もっと効率的に売れる方法はないかと考える。
そこであるブレーンは、
「だったらお偉い先生からのお墨付きを頂いてはどうでしょうか?」
と言った。
「成る程!それであれば、そんなに営業をしなくても、医者はまずその薬を使うことになる」
「中々いいアイディアだ」
「山田君、茶封筒一つ持って来ておくれ」
「ついでに量をちょっと増やして貰ってはどうでしょうか?」
「確かに1錠を2錠飲んで貰えば、それだけで売り上げが倍になるな」
「山田君、茶封筒二つ持って来ておくれ!」
「どうせだったら、教科書にも書かせて、厚生省なども丸め込んでしまいましょう。後は、医師の会みたいな団体を作って、これが正しいことにしてしまいましょう。」
「こいつは凄いことを言うやつだ」
「ええぃ、山田君、残りの茶封筒全部持って来てくれ!」
そして、暫く時がたち、
「いや~、お蔭で儲かったものだ」
「しかし、不思議とお金は増えれば、もっと欲しくなるものじゃのぅ~」
「とは言っても、薬は一通り開発したり、もうやることがなくなったからのぅ~」
「だったら、病気を増やしてはいかがでしょうか?」
「なんと、病気とな?」
「御意」
「そうか!新しく病気を作り出せば、また新商品を開発することが出来る。そういうことじゃな」
「御意でござりまする」
「よし!早速医師の会らに新しい病気を作り出せと通達せよ!」
「それと、今カンサーという病気に目を付けています。その病気であれば、新薬を開発して、次々と使わせる手法が使えます」
「ほう。確かにそんなことが出来れば願ったりじゃが、果たしてそんなことが出来るのかね」
「これはダイエット商法作戦と名付け、必ずや成功するでしょう。他の製薬会社とも既に提携は出来ています。もしこれが成功した暁には。。。」
「分かっておる。お主も悪よのぅ~」
「山田くぅ~ん!」
「あれっ?山田君はどうしたぁ~?」
以上。笑
途中、物語調になってしまいましたが、これはあくまで、私が製薬会社で、お金を稼ごうとしたらどう考えるかを、面白おかしく書いた、ただのフィクションです。
もちろん世の中の人が、皆いい人だったら、そんなことは誰も考えません。