トップ選手がたまに出て来るのは?

努力はやればいいものだと思われている。しかし間違った努力なら、やればやるほどダメになる。

やればやるほどダメになると言うのは、間違った努力でも何もやらない人よりは、少しは上手くはなるかもしれないけれど、全国トップ選手やプロアスリートには、絶対になれないという事です。

例えば道を間違えて一生懸命その道を進んで行ったら、目的にたどり着くでしょうか?道を間違えている限り、どんなに一生懸命になろうとも辿り着かない。一生懸命さは別に関係ない。またもし間違った道に進んだ場合は、元の場所まで戻らなくてはならない。

努力は積み重ねていくようなイメージがありますが、間違った努力をしたのであれば、それを捨てて、元に戻らなければならないのです。

しかし恐らくこの感覚はないでしょうし、説明されてもよく理解出来ないでしょう。

 

家で考えてみれば少しわかるかもしれませんが、もし家を建てた時に、基礎工事で手抜きをしていたのであれば、傾いたりなど後々問題が起こってしまう。それを元に戻すためには、窓ガラスを一枚交換するとかといったことではなく、一旦全てを壊して、もう一度基礎工事からやり直さなければならない。

努力の積み重ねもそういう感じ。

積み重ねるというのは、正しい努力の積み重ねです。

しかし今まで一生懸命積み重ねてきたのであれば、誰もそれを壊したくないから、間違った方向に進んだ人程、引くに引けなくなって、後戻りは出来なくなる。

だから何事も最初は肝心なのです。

 

さて、強豪と呼ばれるような学校は、スカウトもありますが、強いのは必然性があって強い。監督の指導力が高い訳です。小出監督や平井コーチが部活の顧問の先生になれば、どんなに弱いチームでも、数年後には全国クラスになっているでしょう。

逆に弱い所は必然性があって弱い。一生懸命に努力していたとしても、強くなれない努力を一生懸命やっているので、弱い訳です。

しかし時折そうした弱いようなチーム、弱いような地域から、全国トップ選手が出て来ることが稀にある。

通常弱いチーム、弱い地域では、間違った指導法、強くなれない指導法を受けているので、才能や素質に恵まれた選手がいても、強くなりませんが、それにも関わらず、稀にそうした選手が出て来るのは何故だろうか?

 

結論を先に言えば、そういう選手たちは、監督の言う事を全く聞いてこなかったような選手なのです。

ある全国三位ぐらいになった選手は、暫くの間チームの練習にすら行かなかった。だから強かった。またそれだけの信念がある。普通の選手たちは皆流される。

二つ目は、競技を転向した場合。

普通に先生の言うことを聞いて、その努力をやり続ければ、やればやる程ダメになるので、転向をきっかけに、失敗した経験などを生かし、気持ちの転換も図れたのかもしれない。

三つ目が、監督が選手に自由にやらせてくれた場合。4×100mリレー銅メダリストの髙平慎士は、そうだったと思います。

スケートの清水宏保さんも高校時代、強い学校でしたが、恩師と仰ぐ坂井俊行コーチに指導を仰ぎに行っても、「お前の技術は教えることはない。自分の思う道に進みなさい」と、技術的な指導より、目標設定や精神的指導を重んじていたそうです。

四つ目は、親が指導してきた場合。親の指導力が高ければ、地域のレベルは低くても、トップ選手が出てきます。

 

もし指導者に恵まれていない環境で、トップ選手を目指すとすれば、指導者の言う事に従っていれば、絶対にトップレベルにはなれない。

その場合は、

1、言うことを聞かない(信念を貫く)

2、競技を転向し失敗した経験などを生かす

3、環境を変える

このどれかが必要になるでしょう。

 

自由にやらせてくれる器の広い先生も中々いなくて、出来ない上司程、余計な口を挟んでくるように、かじって中途半端な先生ほど、色々口を出してくる。

また自由に練習が出来たとしても、素質がない選手は、努力の仕方も間違えるので、そのままでは難しい。

昨日現状維持の話をしましたが、現状を変えたいけれど、意思が弱くてダメな人は、やらざるを得ない環境を変えることです。例えば英語を話したいのだけど、いつまでも話せないのなら、英語圏の国に行くなど。

 

私は意志が弱い。競技をする上で意思の弱さは決定的な弱点になるから、それに随分悩んだ事がある。やろうと決めた事ができないし、やらないと決めた事をやってしまう。周囲にも流されやすく、空気にも弱い。

私は場に染まる。空気を読むしその場に適した人間になってしまう。この自分の特徴は変えられなかったから、ある日から環境自体を変える事にした。自分を律するのではなく、なりたい姿が存在する環境を選び、そこに適応する。

”成長が止まった事を感じ取る能力”は恐らくあったから、これではだめだと思うたび、環境を変えてきた。僕にとっては適応の方が成長に効果的な戦略だったんだと思う。

「走る哲学 為末大著 扶桑社新書」

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