筋力があればある程いいことには、間違いありませんが、一生筋力がアップし続けるなんていうことはなく、筋肉量が増え過ぎれば体が重たくなったり、
自分の好きなものだけ食べれば、栄養バランスが崩れる様に、自分の好きな筋トレや、知っている方法、知っている筋肉だけを鍛えていると、バランスが崩れてしまうなど、話は単純ではありません。
まずは、イチローのトレーニング理論、筋トレのデメリットを読んで頂き、今回は筋トレの難しさや、奥深さを知って貰おうと思います。
自分の延長が正しいとは限らない
人にはそれぞれ個性があり、得意分野や不得意分野の違いや、骨格、体格の違いがあったり、知識、経験も違えば、男性と女性とでも大きく異なっているということは誰でも知っていますが、
潜在的には、相手も自分と同じであるように考えてしまい、自分の考えや、感覚を相手にも当てはめたり、求めてしまう為、ストレスや誤解を生じて、仕事や恋愛、育児など、上手く行かなかったりしています。
これはスポーツでも、全く同じことが起きていて、自分の延長で当てはめて考えたりしますが、人それぞれ骨格や体格、感覚などは全く違い、特に一流のアスリートと、一般のアスリートとでは、体の感覚ややっていることなどは全く違うため、それを理解しないと、一流たちとは、全く違った筋トレになってしまったりします。
たとえば階段を登る、自転車を漕ぐ、ボールを蹴る、スクワットの時など、一般的には太腿前側の大腿四頭筋をメインとして使う事が多くなっています。
そのため自分がそうだから、またそういうものだと思って、大腿四頭筋をメインとして考えたり、単純に大腿四頭筋を鍛えればいいんだと考えてしまいがちですが、プロや一流のアスリートは、スクワットなどを行っても、主動筋として大腿四頭筋は余り使いません。
大腿四頭筋は、ブレーキ筋とも言われていて、大腿四頭筋を過剰に使ってしまうと、裏側のハムストリングや、インナーマッスルである腸腰筋が、使えなくなったりしてしまうのです。
もしスクワットをする場合、大腿四頭筋を過剰に使ったりせず、他のトレーニングにしてもそうですが、バランスよく、また正しく鍛えていく必要があり、プロや一流に成る程、そうした質が高い体の使い方で、トレーニングをしています。
ただ同じトレーニング種目を行いさえすれば、誰でも同じ効果、高い効果が得られるものではないのです。
そうしたことを知らずに、自分が使っているから大事なんだろう、また本に書いてあるからそれをやりさえすればいいのだろうと、自分の考えや使い方の延長の筋トレ、質の低い筋トレを行ってしまうと、一流がやっている筋トレとは、似て非なるトレーニングとなり、パフォーマンスを上げるよりむしろ、才能や素質をつぶすことにもなってしまいます。
筋力を付けてもプロにはなれない
スポーツでは筋力がある方が有利ではありますが、筋力があるからそれに比例して、パフォーマンスが高いのかと言うと、相関関係はあるものの、完全な一致はしません。
特に学生では、それが顕著です。
たとえば足が速い選手と、それよりも遅い選手とを比べた場合、必ずしも足が速い選手の方が筋力が強いとは限らず、筋力の強い選手の方が遅いことはよくあります。
また野球では筋力がそれ程ない選手の方が、投手として活躍していたり、プロサッカー選手の中には、中村俊輔選手の様に、非常に体の細い選手はいますが、そうした選手よりも筋力がある選手は大勢いるものの、そこまでのパフォーマンスは発揮できていません。
パフォーマンスの高い学生の中には、腕立てが出来なかったり、懸垂が一回も出来ない、といったことも割りとよくあるぐらいです。
何故そうしたことが起こるのかと言うと、筋力以外の所に違いがあるからで、それが何かと言うと、体を使う技術、使い方、操作性のレベルの違いです。
それらのレベルの高い選手は、たとえ筋力が低くてもパフォーマンスが高く、逆にそれが低ければ、どんなに筋力が高くても、パフォーマンスは低くなります。
そのため単純に、ベンチプレスが100キロ挙げられるから、全員が130キロを投げられるといったことにはならないのです。
走る事にしても、重要なことは筋力以上に走る技術で、その技術が低ければ、どんなに筋力があろうとも、100Mを10秒台で走る事は出来ません。
しかし、走る技術は非常に難しく、知られてもいないため、行われるものと言えば、技術の強化ではなく、走り込みや筋トレなど筋力の強化です。
逆に言えば、それ以外やる事が分からないのですが、走る技術を高めることをせず、単純なパワーアップだけでは、いずれ限界が来てしまいます。
またむしろ筋トレなどで、走る技術、体の使い方のレベルが、低下させたりしています。技術が一体何なのかが分からないために、何をやったら上がるのか、ダメなのかが分からないからです。
大学やプロになると、筋力の強化は重要ですが、それまでの間は、筋力以上に体の使い方が大事になるので、筋トレを行う場合には、それを十分考慮した上で取り組む必要があります。
筋トレで大事なのは、フォームだけではない
ボディビルダーなど、ウエイトトレーニングを本格的にやっている人であれば、フォームが大事であることは誰でも知っていて、どういうフォームであるべきかを知っています。
しかしトレーニングに詳しくない人であれば、スクワットでも腕立てでも腹筋でも、フォームがあることも知らず、ただなんとなく行われがちです。
そのため間違ったフォームでトレーニングを行っていたために、ベンチプレスで肩を痛めた、バックプルダウンで猫背になって姿勢が悪くなった、などのことはよくあることですが、実は筋トレの本当の難しさや重要性は、フォームではなくその先にあり、体の使い方や力の出し方です。
基本的なフォームに関しては、トレーニングに詳しい指導者に付いて習えば、誰でも身につけることが出来るものです。
しかし見た目のフォームが同じようであっても、また正しいと言われるフォームであったとしても、どういった力の出し方や体の使い方でトレーニングを行うのかで、全く効果が変わってくるため、同じようにトレーニングを行っても、そこで差がついてしまいます。
たとえばフォームは良くても、力んだトレーニングを行っていれば、筋肉はどんどん硬くなり、柔軟性も低下し、筋力が付いたとしても、筋肉の質、体の質は低下し、怪我をしやすくなったり、スタミナが低下したり、競技に活かせなかったりします。
逆に上手な体の使い方をしている、本当の意味で正しいトレーニングをしている選手であれば、筋トレをしてもそれ程、筋肉が硬くなったり、柔軟性も低下せず、どんどんパフォーマンスが上がっていきます。
ただそれを習うことは、余程体に精通した指導者に付いて習わない限り分からないことなので、筋トレはとても難しく奥が深いものです。
筋トレ以上に過程が大事
何事も結果を出すためには、過程が大事だったりしますが、体作りにしても同じことが言えます。ただ筋トレをすればいいものではなく、過程を考えた体作りが必要です。
もしそれが必要ないというのであれば、2歳ぐらいからウエイトトレーニングを始めればいいでしょう。しかし2歳からウエイトトレーニングを始めた人が最も有利で、5歳、10歳では遅れを取っている、などということにはなりません。
「生兵法は大怪我の基」と言われる様に、トレーニングだけではなく、体の技術、使い方など、体に深い知識が無ければ、我流の筋トレは、力む癖が付いたり、体の技術、使い方が低下します。
もし低下した場合、それが分からないのですから、当然もう二度とレベルが上がる事はなく、また体の使い方に精通している先生であっても、一度身に付いた間違った癖を直すことは、何年もかかるぐらいのことであるため、そう簡単なことではありません。
たとえるなら一度我流で建てた家を壊して、基礎工事からやり直さなければならないため、一生懸命努力して建てた家であれば、本人にしても、壊したがらないのです。
体を使う技術や使い方というのは、筋トレやランニングなど、大人が知っているようなことをやらせさえしなければ、それ程知識の無い人でも、潰さずに済みます。後は優秀な指導者につき、また体の使い方を教えてくれる先生から、習うことが出来ればなおいいでしょう。
また筋力というのは、後からでも付けることが出来るので、まずは潰さない様に大事に育てていくことの方が大事になって来ます。
体に合ったトレーニングになっているか
体は骨格や体質など、それぞれ全く違っているために、画一的なトレーニングでは、合わない人が出て来て、問題が起こってきます。
特に子供は、成長スビードに大きな違いがあるため、成長スピードを無視したトレーニングや、大人の視点で子供の体を無視したトレーニングは、体を壊す元となり、体に合ったトレーニング種目、運動強度、回数などを設定する必要があります。
更にもっと深いことを言えば、東洋人とアジア人とでは、骨格が違う為、これも本来であれば骨格に合せたトレーニングが必要ですが、今のトレーニングは西洋的なトレーニングが主流で、骨格に合ったトレーニングが余り考えられていません。
体に合ったトレーニングを行ってきた、イチローや陸上の末續慎吾さん、為末大が、もし西洋人的な体作りをしていれば成功しなかったように、自分の体に合っていないトレーニングを行えば、トップレベルの世界では戦っていくことが出来なくなります。
筋肉の質を考える
ただ筋トレするだけなら誰でも出来ます。また多くの人は筋力の強化を考えますが、筋肉が付きさえすれば何でもいいものではなく、重要なことは、質のいい筋肉を作ることです。
質のいい筋肉とは、分かりやすく言えば弾力性のある柔らかい筋肉で、その逆が凝り固まった筋肉。一流のアスリートほど、柔らかい筋肉をしていると言われていて、もし弾力性のある柔らかい筋肉であれば、体作りの方向性は合っていると言えます。
しかしそうでなく、筋肉がパンパンに張っている、凝り固まっているというのであれば、たとえ今成績が良かったり、筋力が強かったりしたとしても、一流の体作りとは違う方向性に進んでいて、怪我もしやすい体になっているかもしれないということです。
柔らかい筋肉を作るというのは、間違った練習やトレーニング、体の使い方、我流のやり方をしていては出来ないことなので、簡単ではありません。だからこそ殆どのアスリートが、筋肉がパンパンに張った体となり、怪我をしたりプロなどになれずにいます。
質のいい体作りに取り組みが出来るかどうかで、大きな差が付いていきます。
筋トレしても、競技に活かされるとは限らない
たとえばベンチプレスで筋力を強化した場合、その筋力が最も活かされるのはベンチプレスです。他の投げる、打つ、走るなどの動作では、その何割かの筋力しか使われず、ベンチプレスで鍛えられた筋力100%が使われることはありません。
そうした性質があるため、出来るだけ競技に近づけたトレーニングを行ったりする必要、工夫する必要があり、逆に関係の無い筋力が付き過ぎてしまうと、体が重くなったり、その競技には合っていない体形になったり、肝心な本来使うべき筋力、筋肉が、使いにくくなって弱くなったりします。
筋トレしさえすれば万事OKとか、強化すればいいという話ではなく、競技に合った体づくり、競技に必要な筋力の強化で、その道から外れていればいるほど、純度が低くなり、プロフェッショナルとしては、通用できません。
また高跳び、幅跳び、体操など、柔軟性を必要とする競技や、水泳や野球のピッチャー、バレーボール、ラケット競技など、肩甲骨周りの柔軟性が重要となる競技は多くありますが、その柔軟性の重要さに気づかず、間違った筋トレで柔軟性を低下させた場合、酷ければ元に戻すことが出来ず致命的となります。
柔軟性から生まれてい来る力を、単純な筋力だけではカバー出来ないのです。
また筋肉量が増え過ぎることによって、背中や腕の筋肉が邪魔をして、肩回りの柔軟性が低下することもあったりしますが、そのトレーニングが競技でどれくらい活かせているのか、十分検証しながら取り組む必要があります。
足を鍛えてもジャンプ力は付かない
ジャンプ力を付けようとした時に、考えることは、主には足の筋肉を鍛えることです。当然筋力を付ければ、ジャンプ力はある程度伸びます。
しかし、スクワットやレッグエクステンション、カーフレイズといったトレーニングで、マイケルジョーダンのようなジャンプ力、カールルイスのようなジャンプ力が付くかと言えば付きません。
またそこまで行かなくても、オリンピックレベルの高跳びや、走り幅跳びのジャンプ力、Jリーガーのキーパーのようなジャンプ力、NBA選手のようなジャンプ力にもまずなりません。
ジャンプ力で一番重要なことは、筋力と言うより、バネがあるかどうかで、スクワットやレッグエクステンション、カーフレイズといったトレーニングでは、バネが付かず、むしろ体が重くなったり、バネを失う可能性すらあります。
カールルイスは、引退近くなるまで、ウエイトトレーニングは行っていませんでした。
一般的なトレーニングとしては、プライオメトリクストレーニングや、ボックスジャンプが行われていますが、それらのトレーニングは有効ではあるものの、一度バネを失った人が、そうしたトレーニングを行っても、バネは付かず、間違ったやり方でも逆に悪くなったり、負担が大きいトレーニングであるため、怪我をしやすくなったりもします。
ジャンプ力を強化するためには、単純に足の筋力を強化するのではなく、バネとは何かを考え、バネを強化していくことが大事です。
理に適ったトレーニングが重要
これは合気道の達人、塩田剛三先生の動画です。
武道について詳しくない人であれば、これを見ても信じられないかもしれませんが、ロバートケネディが、体格のいいボディーガードが、簡単に技にかかった驚きを後の回想録に書き記し、
またボディーガード自身からも、驚きの表情を見て取る事から考えれば、何かあるだろうということは、分かると思います。
また桑田真澄さんや末續慎吾さんが、古武術の動きを取り入れて成功したり、武道の先生が、武術的な体の使い方などを、オリンピック選手に指導するようになったり、メディアで取り上げられているので、
こうしたこともある、出来るということが、今では武道を知らない一般の人でも、知られる様になっているので、そうしたことから考えても、不思議なこともあると、思えると思います。
しかし当然普通の人には、それは出来ません。
何故こうしたことが出来るかと言うと、自然の理に適った体作りを行っているためです。
現在行われているトレーニングは、西洋的なトレーニングが元になっていて、強化に主眼が置かれていますが、かつての日本など、東洋的なトレーニングは、トレーニングと言うより鍛練で、身体能力の開発、自然の理の追求に主眼が置かれていました。
またそうしたものは、極意、秘伝とされて来たために、一般の人に知られることはなく、一般化されていません。
よく「鍛え方が違う」、といった言われ方がしますが、一般的なイメージでは、「毎日鍛えているから違う」のように、鍛えている量の違いのイメージを持たれますが、昔の侍たちは、今行われているトレーニングとは、体を鍛える方法が違うということで、その鍛練法が秘密にされたために、余り知られてこなかったのです。
一流のアスリートに成る程、武道の達人のように、理に適った体、自然体に近い体をしています。
逆に言えば理に適った体から遠ざかれば、その道からも遠ざかり、またそれには、自分の知っているようなこと、一般的なことをやっている以上、やっていることが違う為、到達できません。
特にイチローが行ってきた体づくりは、理に適った体や自然な体作りであるため、ウエイトトレーニングをやらなかったりしていますが、理に適ったからだとは何か、自然体とは何かを追求していく必要があり、それは奥が深く難しく、世の中に出回っている本などに、全てが公開されている訳でもありません。
それが出来た人が一流となり、普通の人が知っているようなトレーニング、皆がやっているようなトレーニングは、あくまで普通の人がやるもの、普通の結果にしかならないものです。
大腰筋の重要性
筋トレをしようとした場合、見える所、知っている所を鍛えようとします。しかし外見以上に内面が大事だったりもする様に、何事も見えない所、普通の人が気が付かない所が重要だったりします。
体にしても、腹筋とか、大胸筋とか、上腕二頭筋というのは、誰でも知っている事なので、誰でもそれらを鍛えようとします。しかしインナーマッスルである大腰筋は、最近でこそ知られる様になったものの、それでもまだ知らない人がいたり、見えないために、鍛えようとする人は、余りいません。
また見えないし、触る事も簡単ではなく、どう使うのか、どう鍛えるのかと言うのも難しく、大腰筋と言う言葉や本に書かれている大腰筋のトレーニング法を知ったとしても、十分に鍛えることが出来ずにいます。
武道の達人が、常識では考えにくいことをやったりしているのも、極端なことを言えば、普通の人が使っていない大腰筋を使っているからです。また一流のアスリートのパフォーマンスが、一般のアスリートとは雲泥の差が付くほどのレベルであるのも、大腰筋を使っているためです。
そのため一流のアスリートになるためには、いかに大腰筋を使えるようにするか、大腰筋を鍛えていくかがカギとなりますが、その重要性を知らず、小学生や中学生の子供に、腹筋などをやらせると、大腰筋が使えなくなり、一度使えなくなってしまうと、それを元に戻すことや、習うことは困難であるため、取り返しがつかなくなる恐れがあります。
筋トレをする前に、見えない筋肉が重要であることを、よく知っておく必要があります。
一流のトレーニングとは?
一流になるためには、普通のことや常識的なことをやっても一流にはなれません。誰もがやらないようなことをやって、一流になれたりします。
しかし多くの人は同じようなことを考え、最近であれば体幹トレーニングが流行っていますが、それは皆知っていることだし、皆やったりすることなので、そうしたことをやって一流になるとか、差が付くものではありません。
そうではなく、誰もがやらないようなこと、思いつかないようなこと、もしくはバカにされるようなことをやることによって、全く違う結果となり、本当の意味で圧倒的な差が付きます。
たとえば今では、スポーツの世界で定期的なマッサージは、当たり前に行われていますが、それが常識となる以前から、イチローのお父さんは、毎日足裏をマッサージしていました。
また清水宏保さんのお父さんは、四股を踏ませたりしていました。そうしたことは当時誰もやっていなかったので、バカにされたり、笑われたりしていたのです。
天才と呼ばれる人は、時代の先を言っているため、凡人には理解出来ないために、バカにされたりします。またファーストペンギンになる事が出来ず、皆がやっていることをやります。
それが天才と凡人の違いです。
トレーニングにしても、一流や天才になりたいのであれば、普通のことをやっている限り普通の人です。普通の人には理解出来ないトレーニングが、一流のトレーニングとも言えます。
室伏宏治さんのトレーニング法も、普通の人には理解出来ません。旭川揺らぎ整体では、ランニングや腹筋背筋などのトレーニングを子供には勧めていません。そうしたことは常識とは違う為に、理解出来ないと思います。
そうしたことが、一流のトレーニングです。
決して体幹トレーニングを行うとか、毎日走らせる素振りをさせるといった、誰でも知っていて、皆がやる事、思いつくものは、一流のトレーニングではありません。
旭川揺らぎ整体ホームページ